第42回日本医療福祉設備学会 一般演題優秀発表賞 受賞にあたって

遠藤 哲夫氏 (大成建設株式会社 技術センター)

受賞演題「シミュレーションを利用した病院内電波環境の評価技術の検討

病院内での電磁界シミュレーションの実用化を目指して

この度は、第42回日本医療福祉設備学会の一般演題優秀発表賞という過分な評価を頂き、誠にありがとうございます。本成果は、医療施設における電磁環境評価に関する共同研究者としてご指導頂いた埼玉医科大学保健医療学部の加納 隆教授、シミュレーションシステムの共同研究者としてご指導頂いた青山学院大学理工学部長の橋本 修教授、並びに両研究室の皆様のご支援によって得られた結果であります。関係各位には心より感謝の意を表したいと思います。

受賞演題は、病院・医療施設における医療従事者の業務支援や患者サービスを目的とした電波利用機器を導入する際に課題となる、電磁波対策の検討にシミュレーション技術を利用することで現地調査の省力化を目指した調査研究であり、携帯電話の通信品質を現地調査して得られた結果とシミュレーション結果は実用的な精度で一致することを示しました。今後、現地調査とシミュレーション検討を重ね、更なる解析精度の向上によって実用化を進める所存です。

阪田 総一郎氏 (高砂熱学工業株式会社 技術本部技術企画部 新技術推進室)

受賞演題「滴下インフルエンザウイルス液活性へのClO2濃度と湿度の影響

殺菌消毒における二酸化塩素ガス利用の重要性

この度は、第42回日本医療福祉設備学会一般演題優秀発表賞の栄誉を賜り、大変光栄に存じます。講演内容は、製薬や食品の製造施設の殺菌消毒に利用されてきた発がん性のあるホルムアルデヒドに替わりうる殺菌剤として、二酸化塩素ガス(CDG)による滴下インフルエンザウイルスに対する感染性失活効果を調べた報告です。効果が発揮されるためには、ガス濃度は100ppm のオーダ、相対湿度は室温時に50% RH 以上が必要であることを明らかにしました。CDG は、2001年秋の米国内炭疽菌テロ事件で汚染された米政府関連施設の消毒殺菌に大規模に利用されました。それ以来、殺菌性能の高さ、発がん性の報告例がない、腐食性が少ない、空間内隅々まで拡散、短時間で分解、残留がない、等の長所を有することから、米国内では、製薬、医療、食品などの製造施設やバイオ研究施設の殺菌消毒に幅広く普及しました。今後とも、地震国日本の事情にも配慮したわが国独自のCDG 技術の普及に努める所存です。

堀田 哲夫氏 (新潟大学医歯学総合病院 手術部)

受賞演題「Quad Core OR の多層階展開における機能性分析

手術室を多層階に展開するコンセプトとその有用性

この度は第42回日本医療福祉設備学会「一般演題優秀発表賞」にご選定いただき、大変光栄に存じます。本発表は名城大学酒井順哉教授のお勧めによるものであり、酒井教授をはじめ共同研究者の久留米大学麻酔科牛島一男教授、昭和大学北部病院石橋まゆみ師長に深謝いたします。

手術室を多層階展開するコンセプトは、建築の専門家からは生まれにくい発想であり、日ごろ手術室を使用するユーザーの視点から導き出されたものかと思います。特に私は新潟大学手術部の新築設計を担当させていただく機会があり、敷地面積が限られた日本での独自の手術室設計の必要性を痛感しました。その結果導き出された結論が垂直空間の利用でした。しかし、多層階展開をシミュレーションしてみると、人と物の動線の分離と短縮に極めて有利であることが示されました。今後はこのコンセプトを具体化し、実際のモデルを建築することを目標に研究を進める予定です。今後とも学会のご支援とご指導をよろしくお願いいたします。

森本 正一氏 (新菱冷熱工業株式会社 中央研究所)

受賞演題「多床室の感染リスク低減方法の検討

本質的に安全な病院を目指して

この度は、第42回日本医療福祉設備学会の一般演題優秀発表賞の栄誉を賜り、大変光栄に存じます。共同研究者の田辺新一先生(早稲田大学)、堀 賢先生(順天堂大学)、堤 仁美先生(昭和女子大学)をはじめ、研究について様々な助言をいただきました早稲田大学・順天堂大学共同研究「次世代環境医療研究会エコ技術・感染環境制御ワーキンググループ」の皆様に心より感謝申し上げます。

多床室の感染リスク低減は、マスクなどの個人防護具に頼らなくても感染しない、本質的に安全な病院を目標とした研究です。今回は気流と間仕切りなどにより多床室を準個室化する対策を提案いたしました。受賞を励みに、これからも感染対策効果と省エネ・低コストを両立させた技術で、病院の感染リスク低減に貢献する所存です。さらに、感染症発生のホットスポットである東南アジア、アフリカ、南米諸国などで期待されている建築・設備による感染対策効果の向上によって、日本の知的国際貢献の一助となることを目指します。