ご 挨 拶

 第47回日本医療福祉設備学会を,2018年11月20日(火)~21日(水)の2日間,東京ビックサイトにおいて開催させていただきます。また,HOSPEX Japan 2018も,例年どおり一般社団法人日本能率協会との共催で,11月20日(火)~22日(木)に,併設開催いたします。このような伝統ある学会を担当させていただくことは,大変光栄であり,身の引きしまる思いがいたします。

 このたびの学会テーマは「“ヘルスケア・サステナビリティ”に貢献する医療福祉設備」といたしました。サステナビリティ(sustainability)は、この社会を持続可能なものにするための,環境、社会、人(経済)に注目した取り組みを意味します。人の寿命に限りがあるように,私たちの社会がいつまでも右肩上がりの発展を期待できないことを認識し,限られた資源で現状をより良い状態で維持しようと意識したとき,このサステナビリティが生まれたと考えられます。裏を返せば,現状が一定の水準に達しているからこそ,成長ではなくそれを維持することを前向きにとらえられるのかもしれません。これこそは,超高齢化、少子化社会を迎えるわが国にふさわしい姿勢であり,私たちのこれからの取り組みは,自分たちが気付かぬところで,きっと他国の先進的な見本となるはずです。

 サステナビリティのもう一つの側面は,コーポレート・サステナビリティにみられるように,社会,環境,経済への長期的な影響を意識した姿勢です。そして,その中心に据えられるべきものが,医療や介護,福祉を包含するヘルスケアと考えられます。この分野においては、今後ますますサステナビリティを意識した取り組みが重要になります。本学会は,その名前に“福祉”と“医療”という二つのことばが一体となって使用されています。本来,生活問題に対する“福祉”と身体問題に対する“医療”とは,決して同一のレベルでとらえるものではありません。しかしながら,超高齢社会では,これらが限りなく接近して混然一体となります。最近注目されている“地域包括ケア”も,まさにその考え方の延長線上にあるということができます。その意味では,サステナビリティは,本学会で長年追求されてきた主要な課題ということができます。実は,テーマとして表に表れていませんが,本学会においても毎年のように,超高齢社会関連のサステナビリティを意識した企画が組まれてきました。このたびのテーマも,私たちの社会の未来を意識したものになっています。今回は,社会や環境という面により重きを置いて,医療・福祉設備の役割とその可能性を考えることにいたしました。

 本来サステナビリティにはヘルスケアも内包されているはずです。“ヘルスケア・サステナビリティ”は,このことを強く意識した,これまでにありそうでなかった造語です。この言葉を聞いた時,ある人は,医療に関連した自然保護活動を,またある人は企業の社会貢献活動や高齢者の福祉・介護を思い浮かべるかもしれません。その連想は人さまざまであり,一人ひとりに託されています。この“ヘルスケア・サステナビリティ”の言葉に触発され,様々な思い持った参加者が,一堂に会して話合うことで,少ない資源を活用して,より多くの患者や入居者に,効率よくヘルスケアサービスや快適な空間を提供するための様々な取り組みが生まれるはずです。そしてきっとこれは,安心・安全な超高齢社会実現の最初の大きな一歩になると確信しています。

 医療・福祉設備をとおして,サステナビリティの活動に関心を持つ多く方の参加をお待ちしております。

第47回日本医療福祉設備学会
学会長  安原 洋
(東京大学医学部附属病院 手術部 部長・教授)